2019年01月30日

一緒に笑ったらどこかの地平線にゴミを投げてみよう!

 お久しぶりぶりですぅ!
「いやっはーー!」
 というわけで永年にわたり今作も終わりを無化えました!
「うそでーす」
 ということでいろんなことがあった昨年はいかがでしたか? ちなみに年号で言うと平成維新です!
「イミフ。というかビジュアル系なバンド名を出しても」
 わかる人がいたらちょっとコア化も。
「ですよね。というか、曲紹介は多分できないので、それは動画共有サービスで探してください」
 さがしてください!
「ということではじまるよ!」
 うそでーす。

 始まったじゃん。
「嘘じゃないのね」
 またお気楽に始めたかったよね、おじいさんみたいに。
「また、そのネタを」
 仕込んでいるとメタないとというモンスターが現れるんですよ。
「それは、何のカードゲーム?」
 ヴァンから始まってほしい輝石。
「イミフです。というか、違うカードゲームじゃん。そんなのはよくない! 僕がオレンジ色のバナナを掴んだんだよ!」
 何そのバナナ。気味悪すぎでしょ。
「いやぁ、最近トイレットペーパーを捜しているんだけど、店にはなくてねぇ」
 そのバナナについては為しているんですけど。
「それは、バナナですか?」
 いいえ、それはバナナです。
「日本語と英語とフランス語を混ぜないでください」
 どこにフランス語の要素が!?
「まぁ、難しいよね。フランスィっていえばスパニッシュなオムレツを食べれるほど高梨っていうキャラクターが愛されるんだよ」
 なるほど。それでお正月を販売したんですね。
「そう、神々が望む住人の休日をなんとバナナで!」
 そうなんですぅ。(CV.南条)
「誰の台詞?!」
 というか、バナナがフランス語だよっていうことにとても驚きました。ということでabxに謝ってください。
「みんな! 聞いてくれるかいぃぃ!」
 フラッシュ麻雀はとても弱い。
「フラッシュ麻雀はぁぁぁ! とてもぉぉぉ! よわぃぃいい!」
 うるさいんだよ、べし。
「だけど。あの時感じた閃光は本物だった」
 うん?
「いつの間にかあの神々があの鐘の音を鳴らしたのだろう」
 どうした。シリアスモードはダメだ。
「ステンドグラスに加工をしてしまった工作部隊はいつも狙われている」
 ダメだ。
「もうここも狙われている。だが、あそこまで行ってしまえば必ず、助かる」
 だから、ダメって。
「そうか、ここも……。あとは、最後の拠点に奴がいれば!」
 あぁ、もう! ダメって言っているでしょ!
「その瞬間彼女に閃光が走った! その光に希望を抱いた人間はどれくらいいただろう」
 えぇぇ! 私の声で?
「彼女は突然現れたことによりパニックになっている。だが誰しもが踊るような心の挙動があったのは否めない事実だった」
 もういい! 帰る!
「待ってくれ! あんたが現れたことによって隣にいる奴らが喜んでいる。それを捨てるというのか」
 わからないのはいつものこと。私が帰ったら困るのなら私は私で行動するからね。
「そうか、あんたはいつもそうやって……。なら、話を聞こうか」
 いや、あんたらが呼んだんでしょ。
「なら、話を聞こうか」
 いや、だから。
「話を聞こうか」
 うーん。だからね。
「聞こうか」
 うるさい。
「聞こう」
 減ってるよ?
「きこ」
 どうしたの?
「き」
 もう、この際何でもありなのね。
「樹々が立ち昇る光に根差されて空を彩る。煌めきの中に彼女を知っているのはどれくらいの頻度で現れるのだろうか」
 帰りますね。
「あの人がもういないという事実はどこにでもあることだけれど。それでも事実を知っているのは彼女しかいない。それがどれほどのことかを理解しているのは彼女しかいないのだろうか」
 あぁ、そこにロマンってあるんかねぇ。
「もう、いない人のことを想っても仕方ないのかもしれない。だけど、思う。人は何を信じてそこにいるのかをまた、信じ、続ける。それは悠久の時の中で思われてしまった過去なのか。それとも信じ続けた結果としての未来なのか。そして運命に逆らった今を時とするのだろうか。私にはわからない。わからない。だけど――」
 もう、ここには何もない。それだけは事実だということ。
「いつまでも変わらない人生の中に私の気持ちがないわけではないのだが、それでも一緒にいられたあの時のことを今でも感じ続けていることを知っていたのはまさしく、私しかいないのだから。ずっと変わらないでほしいと願うのは不思議なことなのだろうか」
 空を見上げる。蒼く澄んだ雲がなく、果てのない永遠を感じるその空を。
「いつも隣で笑ってくれた彼女はいないけれど」
 それでもそんな彼女が笑っていることを思い出の中に封印している。
「そしてそっと思い出の中にいる彼女に」
 私は笑ってあげる、そんな当たり前なことに。
「なぜか」
 涙が流れた。
「いつしか、ずっと前に約束したことを思い出の中で回想するのはやはり」
 大切なことだったのかもしれない。
「もう少しで夜になる」
 そして。
「その涙をそっと拭って」
 地平線をずっとずっと。
「見続けていた――」



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posted by 紅空橙輝 at 16:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月02日

神様の稲妻


 時々涙を流すことがあるのですが、あなたはどのような時に涙を流しますか。
 私には不思議なことがあったのです。涙を流すと世界の見え方が変わったりしたという、不思議な体験です。手前勝手なことですが、それもまた一興かと。空にはとても広い雲が流れている。当たり前ですが、私にはとても楽しく思えるのです。
 人は何故、涙を浮かべるのでしょう。笑うから、それとも泣くからでしょうか。そんなことを哲学の世界に導いてあげるのもまた楽しいことかと思います。
 涙の意味に気付いたとき、人は優しさと温かさを身に着けます。そんな風に答えを導くことは特に面白くないと思っても仕方のないことなのかもしれません。いつの間にか、自分でそのことを自覚してしまう以外に。きっとそんなことを続けたくて、涙を流すことを考えているのかもしれません。結果、人はとてもやさしく、ぬくもりある情感あふれる人になるのでしょう。
 ところで、あなたに質問があるのです。聞いていただければ幸いかと、存じ上げます。
 この世界は何があったら破滅の刻を迎えるのでしょう。
 人がいなくなったから? 動物がいなくなったら? それとも、神の手によって動かされているから?
 私には何もないことから始まった原始の力を信じられている信仰。それが身体に宿っているのです。不思議なことでしょう?
 時に何かを知っていたとしても、何もしないでも、そして何かを行ったとしても、それはとても霊感の強いものでしょう。酷く嗤っているカタチをした、嘲りの言葉を残して。
 さて、私は何をしましょうか。この世界に何も残すものがないということを知っているのですから、少しは楽しいことでもしましょうか。人の形をした私は神の世界を創り上げていく、そんな偉業を残して。
 いずれ、何かを知ったとき、人は失われていく。何もしないでも、それはそれでいいのだろうと、一人で思ってしまう。詮索なんてしたくはないのだけれど、それでも人を信用するためにそれは必要なのです。私はここからどこに行きましょうか。あなたもついてきますか? それとも少しでも良いからと楽しみを求めますか。月の妖しげな光は私を輝かせる。一人で歩いてきた過去を振り返って、いつも前を見据えるそんな私をじっと見ているような気がして、私は笑う。
 私は森の中でじっと屈んでいる兎のような食材を見つけて喜ぶ猛獣があまり好きじゃない。そしてこれからも。
 いつしか、自分だけのことを考えているのが私だったりするのです。一体何を言いたいのかがわかりませんが、大地に広がる、世界の真ん中で私は涙を流す。ただただ、それだけが変わらない。あなたを求めたのは誰なのだろうと、わかりませんが、月の光に心を灯すことが私の楽しみであり、そして答えを手にするのは何も、一つのことではないのです。私が知る限り、シルフェイドに映された心は何も映すことができないのですから。どこにでもありそうな答えは少しずつ、知っていく限りの一抹の不安。そしてこれからもずっと。
 世界の変遷を止めることができない。だから稲妻は轟く。大地に火炎を昇りゆく竜の姿。ここは雪山に飛来弾が飛んでくる場所。
 いつも笑っているのはどうして。私は言葉を失っていく。やがて意識が昇りゆく焔に溶かされていくとき、失った。

「神様の稲妻」

 ねぇ。知ってる?
 なになに?
 私はね、いつものように楽しいことをしたくて、ここにいるんだ。
 そうなんだ。でも、普通に楽しいことができなかったの?
 だって仕方ないもん。
 どうして?
 自分のことを忘れていたんだから。
「はぁ、こうやって日記を書いていくんだな」
 私はベランダに座って、晴れ間の天気に輝く白色のデザッサンス椅子に座る――通称、ハクイス――。そこに何かが変わっているのだとしたら、日記を書いている私をお陽様が照らして私は若干の汗をかいているぐらいだろうか。私のことについては何もしないが、それだけ、楽しいことなのだろうか。
 最近、庭師が来ないので、ベランダの緑色の雑草が刈り取られていない。鬱陶しいこの上ないのだが、あまり、手を触れなくても、台風、轟く稲妻が焼いてくれるからそれはそれだけ、楽なことなんだと思っている。
 一人で、デザッサンス椅子に座ってのんびりと誰かとの記録を残している。今でも少しずつ、何かがわかってきた気がするけれど、それでも子供の頃から、よく笑っていたのは思い出せる。
 一人が哀しくて、涙を流すことも思い出せる。いつの日も二人で暮らしていた頃が懐かしかった。今ではもう忘れ去った思い出だけど、私にとっては大切な思い出。一緒に過ごした旅行も大切な日々。いつしか涙を流すことがどうしてこんなにも辛いのだろう。いつもそんなことは想ってはいなかったけれど。どこにでもいるような人を捕まえてお茶の席を作ったのも楽しかったのに。
 そんなことをしたら警棒を持っている人に叩きのめされる。「いつの日か自分のことを」と意味の分からないことを言っていることが今でも遠い未来の果て。いつの間にか大切にしていた日々はこうして封印してしまうのも今では忘れているのだろうか。
 わからないことだらけ。わかっていることなんて今でも何もない。ただただそれだけ。
 いつも、デッサンをしていた少年が思い出せる。心に残ったいつものような世界観。仄かに感じる心のあどけなさ。私なんてっていう自戒した気持ち。成功した姿を想像できる自分の大切さ。いつもそんなことを描写しようとその少年は頑張っていた。今でもこれからもそうなんだと。そして何度も映した写真の欠片。心の欠片はどこにでも転がっているのだから。
 一人でずっと歩いてきた。一人でずっと楽しんできた。二人なんてもうないんだと思いながら二つの気持ちを持っていたから。
 空に涙が溢れている。雨として土砂降り。天なんて信じない。だけど。
「こうして最近のことを思い返すのが大事なんじゃないのかな」
 いつものように日々が過ぎていく。その中に自分がどこにいるのかもわからないのはきっと気のせいではない。ただただ、そう思うのだ。

 涙を渡した少年
 頬にそっと触れた少女
 二人に望まれた答えは
 涙にそっと触れた少年
 頬を渡した少女

 よく言えば、聞こえることはとても大切なんだと思う。この頃そんなことを考えてしまう。一人が続いたからだろうか。それとも暇つぶしにするために考えているのだろうか。わからないが、確実に言えることは。
 天に祈りを捧げる少女の姿が私には美しいと感じ、その声を聞こうとする努力をしているということである。
 私はなぜ、修道士のことを考えてしまうのだろうか。少女は特に何もしていないのだろうけれど、それでも時々、少女のことを考え、同じように祈っている自分のことを想ってしまう。いつもそんなことを考えている。
 雨が降っている。教会の中で一人。外は雷雨が酷いのか時々災厄が降り注ぐように轟いている。
「暇だ……」
 何をしているのか自分でもわからないが、手遊びをするアクセサリーがランタンに輝いている。いつものように笑っている自分の姿が教会の大きな鏡に映されている。綺麗な瞳をしている自分の顔が面白おかしく思えた。
 誰が為に鐘は鳴っているのだろうか。綺麗な思い出を持っている私にだろうか。それとも。暇なのはいつものことだからそれはそれでいいのかもしれない。時々そんなことを考えしまうのが今でも続く。
 ずっと、ここにいればいい。そんなことも考えるのだが、いつも、私は何をしているのだろう。やはりおかしくなってしまうのかもしれない。でも今は雷雨。出るわけにはいかない。
 さて、と、一人呟いて、ご飯でも作ろうとする。美味しいご飯がないが、食べないよりマシだろうと回廊の段から立ち上がる。下に続いている螺旋階段が何階建てかは忘れてしまった。下に行けば他の人もいるのだろうか。そんな期待を少ししてしまうのも仕方ないのだろう。どこにでもあるような心をここで間違えてしまったのかと思っていたのが今でもあるのだと信じているけれど。
 足音は私だけ。心に彷徨っている。人をなぜ、こんなにも求めているのだろうか、いつの間にか信じていたことがこんなにも砕かれるなんて思ってもなかった。誰もいない螺旋階段がくるくる回る。そしてその中に入って、二人で暮らしていたことを思い出していて、誰かが下にいるのだろうかと考えてしまった。だけど誰もいない。そんなことを考えてしまったのだから。
 私を乗せて螺旋階段がくるくる回る。そして鉄格子が上がる。
 誰もいないようでテーブルにパンが置かれていた。特に腐っているわけではなく、誰かがここに入っていたわけではない。そして頃合いになってきたようだ。グラスメント――教会の天井のこと――から陽射しが輝いている。私は涙を流していることに気付く。いつものように楽しくなってきて、料理をしたくて、美味しいご飯を作りたくて仕方ない。今はそんな感情にまとわりついているのだから。
 調理場に立つ。包丁の中に異世界の扉が開かれているようで、これで食べ物を切ったら面白いことになるのではないのだろうか、と、思ってしまった。いつものように楽しくて、面白いことをしよう。
 私は食物庫から材料を取り出した。

 いつもの日々
 いつもという日常
 だけれど
 いつもという日々が
 いつもという日常に

 どこかで遠雷が鳴り響く。今日も泥沼の雨。独り寂しく思い出の朝。いつも陽炎が揺らいでいた。あの時の気持ちも色褪せることなく、その響きをいつしか夢に見ていた。私の感情も吐露できるようなそんな気持ちを抱いていた。
 いつの間にか、朝の陽ざしがグラスメントに輝いていた。いつものように涙を流すことができるのかはわからないけれど。時々のように思い出して。そしたら、これから一緒にいられるんだと、勘違いしていた。思い出の中に私がいた。思い出の世界に誰かと一緒にいた。その記憶と記録の答えなんてどこにもないんじゃないかなと考えていたりする。
 いつも、そんなことを思っているわけではない。ただ、答えを知りたいからと言っても過言ではない。どこかにいるような、そして答えを知っているかのような、そんな不思議な感覚。それをどこで知ってしまったんだろう。教会の中でいつも叫んでいた、コオロギの声が今は静まっている。そんな中で、私は何もしていないのだから笑える。
 どこでもいい。私はこの教会の中で縛られている自分を解き放ちたい。どこかで見つけた小石と一緒に旅をする。なんだか、夢を見ているかのよう。悲しむことなかれと呟いて。
 何がしたいのかが自分でもわからない。そしてこんなことを考えている自分が恥ずかしくて。ただただ、純粋に想うことがこんなにも難しいのだと。
「やめやめ。すぐにこんなことになるから」
 気づけば朝食のパンがオーブンベーカリーの中で焦げてしまったことに気付く。考えすぎて通り過ぎた考えが面白おかしく思えた。教会の中でオーブンベーカリーがあることにも時々面白おかしく思えるのだ。小奇麗なパンが焦げてしまったことも面白おかしく思えてしまうのはどうしてだろう。時々のように思い出すのは様々なことを思う。
 とりあえず、朝食のパンを食べたいのだが、もう一度作るとなると、とても大変な出来事に出くわすのではないのだろうかと思うのはどうしてか。私はとにかく、小麦粉をとってきてボウルのなかに突っ込む。そして一生懸命にこねる、撫でる、回す。
「いや、違うでしょ」
 ん? と隣を見ると、友達のヨンが来ていた。
「その呟きは何なの?」
 ヨンは私を見てなぜか、嫌悪感を見せることなくベーカリーに顔を突っ込む。今日は私が当番だったことは気付いていた様子。
「うわぁ。なるほど、だからまた最初から」
「いいじゃん、というかごめんなさいぃ。一緒に作ってあげられることができなくなったけど、どうする?」
「いや、私は遠慮しておくよ」
「それよりさ」
 ん? とヨンが私を振り向く。鳶色の瞳に哀しみのようなものが作られているのは気のせいではないのだろう。でもそれを言及するのも変な話だ、とも思い、とりあえず、私は何かをすることは止めておく。
「今日、どこかに行けないかな」
「どうしたのさ。突然」
「だって、どのくらいの日々が経ってもお許しを貰えないじゃん? シスターもロリコン野郎だし」
「いや、男性じゃないじゃん。というか欲求不満?」
「そんなことじゃない。幼女好きって言いたいの」
「あんたと私が幼女ってことになってしまったことに否定意見一票」
「そんな言葉どこで覚えたのよ」
「異世界の政治の国で」
「あ、異世界の扉開くようになったんだ」
「うん。だから呼びに来たんだけど。行く?」
「そうだねぇ。行きたいけど、朝ごはんとか食べたいんだよね」
「じゃあ、私はとりあえず、用意だけはしておくね」
「ありがと。ヨンの分も作っとくね」
「はいはいっと」
 そしてヨンは壁際にセットされている扉を開けてその奥にある、いつものカーテンを開く。そこはシスターにも見つかっていない秘密の小口。異世界といった場所にはそういう入り口から入っていくのだ。
 私は小麦粉を何度もこねまくって、形になってきたらそのままオーブンの中に突っ込んだ。そして温度調整をして、綺麗な本棚から一冊の本を取り出す。美しき存在として私の前に現れているかのような天使の絵が特徴的な冊子。その本を見ているといつもうっとりする。この調理室にある本はシスターにも許可が出されているの本なので安心して読むことが出来る。
 ただ、いつも楽しそうにシスターは教会から出て行って男と遊んだりでもしているのだろうか。ミサとか歌わず、大声で民謡でも歌っているのだろうか。私は何をしているのかはわからないのだが。いつものように遊んでいるのは私だけではないのだが。
「私も早くシスターになりたいな」
 修道女という身分の為、楽しいことは禁欲とされているのであまり嬉しくない。仕方ないということなのだろう。
「まぁ、いいんだけどね。それにしても久しぶりだな」
 何が? と言ってしまえばいいのだろうが、とどこかで聞こえた。修道女というめんどくさい立場は少しでも淑女になれとでも言っているかのようだと信じている、とまた意味の分からない部分が少しだけあった言葉をまた聞いた。どこから聞こえているのかはわからないのだが、ただ、その声はどこかで聞いたことのあるものだった。
「もう、いるんだ」
 ヨンはもうすぐ来るだろう。心に響いたあの旋律がそんな声。美しき歌姫の芳しき声。魅惑的で蠱惑的で。シスターがこんなにも身近な存在だと知ったときの感情と言ったら。
 その声は女神像からだろうか。それとも、その声の在り方に私は誘われているのだろうか。わかっているのだから、それはとても美しきものだと、わかっているから。
 いつも、そうやって暮らしていた過去。どうしてそんなのに乱されているの? シスターのせいなの? わからないのに、時流は止まらない。いつしかそんな風に暮らしていたのに、それは失くしてしまったものなのだろうか。
 わかっていたはずの答えはやはりわかっているのだから。
 私は行くだけ。ただただ、目の前にある幸せをつかみに行くための異世界の旅。異世界の中に何かがあるから。それは美しき世界なのか。それとも、これから始まる異世界の放浪を止めることなく始まる物語。
 何かを追い求めている私とヨンはいつものようにここで待っていればいいとは思っていない。どこか遠くに行ってしまうような錯覚を覚えてしまう。面白いことだと思えた。楽しいことだと思え、そして美しさを追い求める。それは果てのない変わりゆく季節の中に一つの氷があるからだろう。
 どこか遠く、遥か彼方。私の故郷がどこにあるのかすらもわからない。私は故郷を離れているのだろうか。
 わかってしまっている感覚はほとほとと共に感じる神々が私に全ての答えを告げに来たように感じてしまうのだから。
 美しき世界。それが待っている。
 私は――。


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posted by 紅空橙輝 at 09:35| Comment(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月04日

明くる朝の三つの思い出

 心を分かち合うっていったい何だろうと公園のベンチに座って考えていた。
 何を突然そんなことを考えている、と自分に激しくツッコミをしたくはなるが、そこはそれ、楽しく考えさせてくれと自分の本能に激しくツッコミをする。
 そして空を見上げる。そこにはいつも答があった。
「綺麗な夜空だ。なんでこんなにも綺麗なんだろう」
 暁の空はとっくに終わっている。それにしても綺麗な星は宿された答えを真宿している。
 私は考える。ずっと永遠に。
 それでも、私は居続けるのだから。

 いろんな人に質問をしていた。
 いろんな人を捕まえた。
 そして聞いた。歌を。答を。
 誰にでもあるものを欲しているのは気のせいではない。
 それほど、大切なものだったのだろうか。
 人形は笑っていた。人形が歌っていた。人形が答えを知っていた――。
 私は何を求めていたのだろうか。
 答を知りたがっていたのは嘘じゃないのに。
 それでも知ったかぶりをしていたのはどうしてだろう。
 いつも見ていた夢を行うことはとてもじゃないが簡単じゃない。
 それでもあきらめないと思ったと同時に。
 後ろを見てはいけないと誰かに言われたような気がした。

 前を向いて、いつまでも続くこの感情に感謝しながら、笑っていられる。
 ただ、それだけでいいと、私は思う。
 いつものように続く道。永久に呟く言葉。残されていく文字。
 ずっと笑っていられることはとても大切なんだと思わされてしまった。
 私はいつも、笑っている。
 ただ、それだけなんだと。
 私は感じている。

 輝く静寂の音
 星空に祈る聖女
 教会に鳴り響く鐘の音
 海辺に漂う汐の香り
 紅涙に浮く表情

「踊りだした心」

 町中でみんなで遊んでいる内に私は笑っていることに気付く。
 単純なまでに楽になっていることに気が付く。
 それはいつまでもいられることにやはり幸せを感じているのだろうか。
 どこか遠く、まだみんなで一緒にいた頃のように。
「いや、いまみんなでいられてるじゃん」
 くすくす笑って、空に異界の扉を開いた。

 過去に及ぶ、幾多の歴史。
 涙する必要性もないはずだった。なのに、そこは思い出を刺激する厳しい世界。
 いつも夢見ていた頃のことを当たり前のように疼痛を兆す。
 痛みなんて感じたくなかった。思い出したくなかった。
 それでもここには何もないはずだったのに、まだ湖の中にある宝石はキラキラ輝いてあったことに驚いた。
 その宝石をゆっくりとてのひらに乗せる。
 そして痛みが薄れていったのを覚えている。

 いつもそうして未来を見据えていたら、笑っていられるのが当たり前だったのだ。
 私はそうして、彼女を見つめていたことが面白おかしく思えた。
 私の心を失ってしまった人を愛しく思えた。
 それほど、難しいのだろう。
 それほど、泣くのだろう。
 私はどうしてこんなにも辛い想いをして将来を見ないといけないの?
 そんな愚問と共に空を見上げた。

 氷の燈火
 水の灯篭
 天に掛かる雲と亜麻色の風
 陽の紅玉
 果物の虹の味

 異世界でどこにいるのかわからないその人を捜している。
 異世界は広大で泣きながら雲が笑っている。
 とてもじゃないが捜す元気もなく、ただ落ちぶれている元貴族のような人もいた。
 私みたいな人がたくさんいるということなのだろうか。
 わからない。それでも私は諦めない。
 彼女がどこにいるのかを必ず突き止めてやると思っているから。
 だから、私は探し続ける。
 この異世界で何をしているのかがわからないけど。
 それでも――。

 どこか既視感のようなものをふと思い、過去を振り向く。
 どこにあるのかもわからないのに記憶がフラッシュバックする。
 宝石、パワーストーン。
 なぜ、この輝きと煌めきが頭に明滅する?
 朱、蒼、黄。
 三つの色が何度も見ている人がいた。
 どこで? ここはどこ?
 過去に確か、彼女がいるということだ。
 それだけを思い出している。

 異世界にいる私。誰にでもなく頼ることもなく、必然とひとりになっていた。
 どこにでもいるような私を捕まえてくれる人はいないけれど、時々のように捜してくれるさみしさを掲げているのはどうしてだろう。
 それでも異世界で大きな家の前で立っていると、昔のあの人の声が聞こえた気がした。
 それはどこにいたのだろうかわからないけれど、こんな私を愛してくれたことを思い出させてくれた。
 笑ってもいい、泣いてもいい、それはとても大切なものだからと。
 また声が聞こえる。
 それはどこにでもいるような私を捕まえて、未来を夢見させてくれた。

 篝火に翳す氷
 氷化された森林
 火炎が瞬く間に海を焼き焦がす
 山の中に樹々が鳴き始める
 月夜の煌めき

 もう、いいのだろう。
 本音を語っても大丈夫だと信じているのはどうしてだろう。
 誰に言うでもなく、私は記憶に残そうと言葉を語り尽くすためにいつまでも思っているのだ。
 人は何を抱いて考え、想い、逞しく道を歩くのだろう。
 そんなことを徒然思うままに。
 残そう。
 残せる魔法の力も残りわずか。
 そして印章指輪に確かに、残そう。

 心の中に認めているのは、いつも変わらないもの。
 私が信じていることをもう吐き出していいのだろうと、何度も彼女に伝えようとした。
 いつものように歌を口ずさんで、空を見上げて笑いあげて。
 二人で一緒にいようとしたことは今でも忘れることのできない思い出。
 共に遊ぼうとしたのは何だったんだろうと、私は後悔する。
 彼女に渡した宝石は朱く、蒼く、黄く、思い出を刺激する。
 そうして私の過去にフラッシュバックする彼女の姿。
 いつまでも一緒にいようとしたことを私はいつも笑っている。
 そんな笑い方をしなくていいじゃない、と聞こえたような雨音。
 私はもう、覚えていない過去に私の心を封印しようと思う。
 そして二人で遊んだ時に言ってしまった言葉。

 あなたの輝いている瞳を見つめていると、心が不思議と安らいで後悔するのよ。

 歌いながら、私は後悔した。
 共に宝石を集めたことを、私は後悔した。
 色とりどりの光として、私は後悔した。

 いつものように一緒にいられるのが私の幸せだったから。

 もう、この異世界に何も必要じゃない。
 どこにでもあるような世界の中で二人でいられたのはもう終わりのこと。
 だから、私は独りでここに居続ける。
 でも異世界の扉はもう目の前にある。
 どこにもいない彼女を捜しても意味がないのなら。
 独りで居続けるのは間違いないことだ。
 そして、私は泣く目を閉じて。
 そのまま嗚咽を洩らし始めて。
 将来に希望が灯されたことに。
 喜びの感情がわずかにあることが。
 嬉しかった。
 そのまま、私は。

 輝く静寂の音
 星空に祈る聖女
 教会に鳴り響く鐘の音
 海辺に漂う汐の香り
 紅涙に浮く表情

 氷の燈火
 水の灯篭
 天に掛かる雲と亜麻色の風
 陽の紅玉
 果物の虹の味

 篝火に翳す氷
 氷化された森林
 火炎が瞬く間に海を焼き焦がす
 山の中に樹々が鳴き始める
 月夜の煌めき

 異世界のいつまでも見続けたい景色を頭の中に刻む。
 それは忘れることのできない素敵な癒しの景色。
 いつまでも続いていく異世界の存在を。
 私は認めることが出来るのだろうか。
 人を裏切ったことをしてしまった私は。
 彼女をいつまでも。
 好きでいられる、そんな私を。
 私は、信じてくれていることに感謝している。
 いつまでも、いつまでも――。

 もうみんなのことは忘れてしまった今。
 いつまでも覚えて痛かった記憶ではなかったから。それは痛烈に効いている。
 でも、それでいい。何もしないでもこうやって幸せを感じていられている自分が美しいのだから。
 私は夜空を眺める。星が綺麗でずっと見つめていたいから。
 いつも、そうやって楽しんでいたのはもう当たり前のように過ぎ去っている。
 それは楽しいことだから。
 だから、私はもう感謝なんてしなくてもこれからのことを考えられる。
 ずっと、一緒にいてくれる人はいないけれど。
 それでも、こんなにも楽しい感情の爆発があるなんて思いもしなかったけど。
 これでいい。
 そう思う。

 一緒に遊んでくれた人たちを思い出そうとしても覚えていない。
 そしてそんな過去が私の全てだった。
 思い出の中にたくさんいる。昔のことだと、その人も語っている。
 楽しそうに笑っていた。
 喜んで抱きしめていた。
 でも、それももう過ぎ去った思い出だから。
 私はそんな過去を持っていることが誇らしく感じるのだ。
 だから、そんな過去だったかな、と思い出す程度でもいい。
 それが私の礎だから――。

 もう、夜空を見上げる毎日だけでいいんだと、自分に言い聞かせると心の奥底からホッとする。
 失うものはない。傷つくこともない。そして永遠に独りということに涙することはない。
 だって、それはいつものように楽しんでいた頃を忘れて、未来を純粋に見守ることが出来るということだから。
 私の心は決まっている。
 もう、この家の中で綺麗な宝石を集めていた、「確かあった」はずの想いをぎゅっと心に感じさせて。
 その想いに。
 涙をすることだ。
 それが私の最高の。
 幸せの形。
 そう思う。

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